妻の心を見事に奪い取った男は
妻の勤め先で将来を嘱望される男。
若きチームリーダー。
イケメン俳優似、高身長。
どれだけ揃ってるんじゃい!
おまけに、モテモテ人生の中で
「人妻」というカテゴリーは未開拓。
いよいよ大ピンチの僕ですが、
「ピンチ」という言葉が
まだ負けていない状態を示すなら
とっくにピンチは超えていますね。
それでも諦めきれないのが
恋に落ちている人間というもの。
なんとか良いところを見せようと
もがき頑張るのですが、
上手くいくはずがありません。
例えば、
妻は肩こりがひどいので
付き合った頃から
毎夜のようにマッサージを
してあげていました。
自分自身が疲れ切っている日でも。
でもね。
これ、本当に良くないんです。
やってもらって当たり前
になってしまうと、
疲れすぎて早く寝てしまった日など
「私のことを
愛してくれなくなった」
と、なってしまうんですよ・・・
ましてや、他にお相手がいるので
僕に嫌われているという理由を
常に探しているようでした。
意図してなのか、
本能かは分かりませんが。
「別居したい」
そう言われたのも、この頃です。
理由を聞くと、
「あなたが大事なのか
離れることで確認したい」
などと、
「今は大事だと思ってない」
宣言をされる始末。
しかも、お相手がいることが
バレバレにもかかわらず
妻は、そこだけは誤魔化せていると
信じているようでした。
いや、バレているのは承知で
「証拠さえ無ければOK」と
大立ち回りをしていたのかも
しれませんが。
別居をOKしたら終わり。
当時はそう考えて
必死に説得しましたよ。
いや、まあ
少しは考えましたよ。
その男の立場を。
社会的に認められ
モテモテのその男が
いつまでも、リスクを冒して
人妻と恋愛ゲームするのかを。
「人妻」という未開拓カテゴリーを
開拓した満足感を経て、
いつかは知らないが
その恋は終わるのでは無いか。
そうすれば妻は
帰ってくるかもしれない。
そんな事も考えましたが、
別居の日々を想像したら
到底、耐えられるものでは
なかったんですね。
てなことで、何とか説得し、
別居はさせなかったワケですが、
これ、読まれるあなたが
どう感じるか分かりませんが、
既に心が移っている妻からすれば、
その時の僕は、
「純愛を邪魔する敵役」
でしかない。
残念ながら、それが現実です。
「婚姻届を出している」
「結婚しているのは俺」
みたいな、
現代社会の契約制度を盾にとっても
「恋心」という動物的本能の前では
無力・オブ・無力
そして、その日は来たんです。
例によって、
飲み会に行って連絡が付かない妻。
「勤め先の女友達との飲み会」と
聞いていました。
その言葉を
当然、鵜呑みにはしていません。
そう。
それで、当時よく言われた言葉を
思い出しましたよ。
「私を信頼していないの!?
そんな人と一緒にはいられない!」
当時の僕からすれば
「え?浮気している側がそれ言う?」
と内心「???」でしたが、
今は分かります。
妻からすれば、
「旦那から愛されていない理由」
さえ作れれば良いのです。
それが、別の人に行く理由となる。
で、きっと、
Kの元で、
僕のことをボコボコに
言っているに違いない。
そう思いました。
被害妄想?
いや、確信です。
なぜなら、
数年前、僕と妻が付き合い始めたとき、
妻には彼氏がいたんですね。
で、彼氏がいかにひどい男かを
散々聞かされたのが
何を隠そう、僕です。(笑)
数年を経て
僕が、当時の妻の彼氏と
同じ目に遭っている。
因果応報・・・なのか?
で、話は戻りますが、
その日、女友達と飲みに行った妻。
僕は、当然鵜呑みに出来ず
やきもきしています。
例によって23時頃になり、
いても立ってもいられなくなりました。
虫の知らせ?
いや、そんなものじゃない。
経験則から来る確信。
「今夜はやばい」
僕は車に乗り込み、
その女友達が住んでいる駅まで
直行しました。
今日、飲んでいるはずの
その駅に。
鵜呑みにしていないなら
その駅に行っても仕方ないのですが、
心のどこかで
「本当であって欲しい」
と思っていたんでしょうね。
あと、手がかりがそれしか無い。
閉店間際の飲み屋で発見して、
女友達に礼を言って連れて帰る。
そんなシナリオを考えていました。
駅付近の飲み屋に突撃。
店員さんが怪訝な顔を向けてきますが
構わず店内を一周。
で、出る。
何件回っても不発です。
そもそも、1次会を終えて
女友達の家に移動している
可能性もある。
そうなったら僕は
探しようがありません。
いや、それならどれだけ良いか。
0時を回りました。
周辺の居酒屋は全て入り終えて、
一向に連絡も付かない中、
僕は車に戻り、
帰路についたのです。
なんとも虚しかったですね。
「何を・・・やってるんだろう?」
運転しながら
自己嫌悪に押し潰されましたよ。
そして、
最後に、いつも車で迎えに
行っている、自宅の最寄り駅に
立ち寄りました。
前回書いた、
トイレで酔い潰れていた事件も
ありましたので、
もしかして、という
思いがあったんですね。
真っ暗な駅のロータリーに
車を止めて
改札口を目指して
エスカレーターを昇りました。
そして、
昇るにつれて、
背の高い男が見えました。
次の瞬間、
背の低い女性が目に入ります。
駅前だというのに
2人は熱烈に抱き合い、
チュッチュしているわけです。
180cm以上の男性と
150cm強の女性。
男は体を丸め、
女は背伸び気味でした。
30cm身長差があると
こういう抱き合い方に
なるんだなー。
それが最初の感想。
言うまでもないですね。
その女性こそ、妻でした。
なんでしょうね。
もはや、
感情的になるということもなく
「答え合わせができた」
という感覚。
もはや、抱き合っている2人の
邪魔をしようとも思いません。
ただ、携帯を利用して
写真だけは撮りましたね。
ここ、大事です。(笑)
日時、場所、写真。
しっかり記録しました。
そして、1人帰路へ。
車の中で、思いましたね。
「あー、とっくに終わっていたんだなー
うちらは」
状況証拠だけ見れば
とっくに分かっていたことですが、
ハッキリと証拠を捉えない限り
次のステップに進めません。
清算的な面でも。
気持ちの面でも。
そう考えれば、
意義のある夜でした。
車内では
ミスチルの、
自分を犠牲にしてでも
女性を愛する、という
バラードが流れていました。
運転席の男は
泣いていたかもしれません。
てなことで、
惨敗が確定した夜でした。
ちなみに、
結婚2年目の出来事です。
僕と妻の結婚生活は
7年で終止符を打ちました。
え?
あと5年は何?(笑)
今考えると
「5年」早く、
再スタートを切れていたら、
どれだけ次の恋がやりやすかったか。
30代にもなると、
恋愛市場は1年1年が勝負ですからね。
日がな一日、無情なまでに
商品価値が下がっていきます。
でもその時は、
「爺婆になっても手を繫いでいよう」
という目標を諦めていません。
逆に言うと、
妻からしても
そこから5年、
僕と過ごしているわけです。
「夫婦の絆」が陶器製の壺だとするなら
完全にひびが入った状態。
果たして修復できるのでしょうか。
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第七話 険悪な関係でも妙に優しい日がある理由


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