第十話 2人の仲を取り戻した7年目の○○

アイーン伊勢谷の結婚破綻録

結婚4年目。
妻の2度目の浮気は
相手の男との
深夜の直接対決を以って
終結に向かいました。

僕自身、打ちのめされましたが
妻も、男も
それぞれにダメージを負って
誰も勝者がいない。

もちろん、実際のところ、
その男がどう思っているかは
知りませんが。

その頃、僕は
ひとつのアクションを
起こしていました。

男の勤め先は
知っていたので、
会社に直接、電話したんですね。

で、簡潔に書くと、
お宅の社員が妻に手を出している。
更に暴力、強盗沙汰を起こしている。
この件で然るべき役職の方と
お話ししたい。

という旨を伝えて
人事部長を呼び出しました。

もちろん、
妻には、あの夜の後、
すぐに病院に連れて行き、
診断書をもらっています。

例によって、
人事部長との交渉の詳細を
書くことは避けますが、

結果として、
相手の男は
ちょうど、契約社員から
正社員に上がる話があったのが
会社の判断で
帳消しになったようで。

まあ、社会的に
制裁を受けてもらった。

ということで、
僕の中では
けじめが付きました。

やろうと思えば、
もっと大きなものを
引き出すことも出来たでしょう。

でも、僕にとって
もはや清算的な問題よりも
自分が納得するのが
目的になっていました。

2年前の
1回目の時とは
違う形のけじめを
付けたかった。

そんなこんなで、
妻は僕の元に返ってきました。

妻は嘘のように元に戻って、
僕の目をまっすぐに見て言いました。

「あなたの大切さが分かったの。
 これからはあなたを大事にして
 お返しする!」

2年ぶりにその言葉を聞いた僕は、
こう考えます。

「今回だけは信じよう。
 爺婆になっても手を繫いでいよう。
 そう誓って結婚したじゃないか」

「愛は意思」という格言が、
脳内を巡っていました。

同時に、

「3度目があれば、
 その時は覚悟を決めよう」

とも、思っていました。

妻は会社を辞めて
専業主婦となり、
数か月間の「幸せな時間」が
やってきました。

そして、
更に2年が経過し
結婚6年目。

完全に家の中から
愛は失われ、
ただ住んでいるだけの
二人がそこにいました。

妻は、
「旦那が悪い」証拠を
とにかく作るモードに入り、
それを周囲という周囲に
ばら撒いていました。

僕からすれば
なぜ、どっちかが悪い
となるのか。

夫婦なんだから、
もちろん僕にも落ち度はあるが、
良いところに目を向け合おう。

という主張なのですが、
もちろん、通用しません。

心のコップは怒りでいっぱい。
少しの刺激であふれ出す。
といったイメージ。

おそらく世の多くの夫婦は
男女どちらか、もしくは両方が
この状態になるのを
経験しているでしょう。

このモードに入ると
目的が「相手を叩く」ことに
なっているので、
相手が何をしようと
関係ありません。

全ては「癇に障る出来事」に
なってしまいます。

だから近年、
ペットが増えたのだろうとは
容易に推測できますね。

ペット相手なら
怒ることはまず無いでしょうし、
仮に粗相されても
怒っても仕方がありません。

話が逸れましたね。

で、3度目の浮気。
という事になるのですが、
もはや、僕の中でも
「妻を取り戻そう」という
モチベーションはありません。

ただ、
今後のことも考えて
証拠だけは押さえておきたい。
と考えていました。

妻もさすがに
男のヒントを散らすように
なっており、
絞ることが出来ません。

詳細を書くことは避けますが
探偵的なこともありました。

正確には、
今回は証拠を掴むまで
至っておらず、
浮気かは分かりません。

ただ、後に
そう考えたほうが自然、
という事態が起きるだけです。

まあ、それも後ほど。

離婚をするまでの
最後の1年間は
地獄のような暮らしでしたね。

全く会話はありませんし、
文字通り、
家は荒れ果てていきました。

本当に荒れ果てるんですよね。

どちらも、
家をきれいに保つ作業を
しなくなるので。

この破綻録を書くにあたって
いろいろと
思い出そうとしましたが、
最後の1年間は
あまり記憶がありません。

人ってあまりにも辛いと
忘れるんですね。

ただ、最後の最後。

「離婚しよう」

という話をしたあと、
やっと平和が戻ってきたのを
覚えています。

不思議なものです。

印象に残っていることを
ひとつ書きますね。

2人で市役所に行き、
離婚届を出した
その日の夜。

そろそろ寝ようか、
となった時に、
妻は昔のような
人懐っこい笑顔で
布団の上でうつぶせに
なりました。

これは、

「マッサージしてー💛」

のポーズで、
付き合った頃から、
結婚6年目くらいまでは
やってあげてたんですよ。

ほぼ毎日。

ちなみに妻の肩凝りは
鉄のように固く、
腱鞘炎になるくらい
力を入れてあげると
ようやく気持ちいい、
という「力仕事」でした。

で、この夜。

「マッサージしてー💛」

のポーズを取った妻に、
きっぱりと告げました。

「やるわけないでしょ。
 これまでは妻だから、
 一生愛すると誓ったから
 やってただけで、
 他人にまでやるわけないじゃん」

僕の記憶上では、
妻にはっきりと「拒否」を伝えたのは
この時が初めてでした。

妻は

「え?」

という表情を浮かべて
布団からそそくさと
起き上がりました。

驚いた顔のまま、
しばらく静止していましたね。

妻の中では、

「やってもらって当たり前」

「旦那はマッサージしたい人」

になっていたんでしょう。

断られて、はじめて
「旦那がやってくれていた」
ことに、気付いたかもしれません。

この1件を境に
ますます家庭内の
平和が戻ってきたのだから
不思議なものです。

簡単に言うと、
僕は一切「尽くす」のをやめて、
妻は僕の心を再度掴もうと
追いかけ始めました。

いろいろ話し合った結果、
妻が家を出ていくことになり、
その前に
日帰り温泉旅行に行ったのですが、

車の中は
付き合った頃のような
楽しい雰囲気で。

温泉は家族風呂を予約して、
二人で入ったわけです。

険悪な1年間は
何だったんだというくらい。

周りから見たら
仲睦まじいカップルにしか
見えなかったでしょう。

不動産屋に行った時も
不思議な光景だったでしょうね。

カップルが仲睦まじく

「この間取り、いいんじゃない?」

とか話してるのに、

実は離婚して、
一人暮らしの新居を
探しているという。(笑)

まあ、部屋探しについて言うなら
結局、探した新居には住まず、

妻は、ある男の家で
同居することになりました。

ダイレクトで
別の男の家です。(笑)

どういうことでしょう?

ということで、
『結婚破綻録』を
お届けしてきました。

まあ、ここで終わっても
良いのですが、

「別れ」というのは
「離婚届」という
契約上のことだけでは
ありませんので。

最終話として、もう少しだけ
後日談に触れていきます。

どうぞ、お付き合いください。

▼続きはコチラ
最終話 僕と彼女が選んだ道~離婚して辛いあなたへ~

コメント

タイトルとURLをコピーしました